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遊牧民や農民が伝承した キリム

マツバラ 2015.09.15 09:40:00

絨毯の原型

職人によって商業目的に作られる事の多い、ペルシャやトルコのパイル絨毯に対し、庶民の実用品として織られ、伝えられてきたのが、平織りの敷物です。

手法によって、細かくは『キリム』『ジジム』『ズィリ』『スマック』「ソマック」などとよばれています。

多くは、遊牧民族をはじめ、山間部族民の農民や牧畜民によって織られた物で,絨毯の原型ともいえる毛織物です。

モーチフには、花嫁・娘・幸福・豊穣・星・亀・サソリなど、それぞれに意味があり、織り手の女性たちのメッセージが込められ、一枚 一枚に織る人の心や民族の伝承が表れているといわれています。


イラン(ペルシャ)IRAN (PERUSLA)

イランの織物といえば、ペルシャ 絨毯が世界的に知られ余りにも有名である。ペルシャ 絨毯が宮殿や寺院を飾り、ヨーロッパ向けの高級敷物として生産されたのに比べて、キルムは,本来、遊牧民が、敷物、テント、布団袋などとして使った生活用品であり、図案もなく家々で家族の為だけ織られていた。

19世紀末から20世紀はじめ、ヨーロッパにおいて王侯貴族たちがこぞってペルシャ 絨毯を求めた時代、キリムも少数の愛好家によってその素朴で実質的な味わいが紹介され、やがて一般家庭の玄関やリビングルームにもつかわれるようになった。

しかし、そのキリムは多くの場合、アナトリアが中心で、ペルシャはやはり豪華な絨毯が人気を集めたようだ。

ヨーロッパでのペルシャのキリムの普及が遅れた分、イランのキリムは近代工業化の嵐に巻き込まれることなく、現在も本当の意味での手作りの良質なキリムが、各部族や産地のオリジナリティそのままに織られている。


イラン(ペルシャ)には 大きく分けて 7部族がいる。

クルド(イラン北西、トルコ国境近く)、シャーサバン(カスピ海西部)、バクチアリ(中部部)、カシュガイ(南西部)、アフシャル(東南部)、バルーチ(東部)、 トルクメン(北西部)

彼らの定住化が進んでいると言っても、半遊牧民が多く、素朴で深い味わいのキリムが織られている。キリムを生産する代表的部族と産地を紹介します。


アルゼバイジャン(Azerbaidzhan)イラン北西部の州。

ここタブリーズ、アリデビル周辺には、クルド族、シャーサバン族、コーカサス系トルコ人が混在し、キリム、ソマックを生産。キリムの特徴は、紫、濃紺を基調とした小花やマヒ(魚文)の細かい文様。儀式用の馬の背掛のソマックが特に有名で、文様にコーカサスの幾何文、トルコのサソリ文、ペルシャの狩猟文など様々の要素が入り混じている。


ビジャ−&セネ(Bijar & Senneh)

イラン西部の代表的な町。クルド族の村々や遊牧民のキャンプの中でキリムは織られる。
特色は青、紫、茶など寒色系が基調であるが、必ず赤が効果的に使われている。
クルド族の辛抱強く誇り高い民族を思わせる深い赤だ セネは、現在サナンダジと呼ばれいる


カズビン&サランド(Qazvin&Zarand)

テヘランの西、シャーサハン族を中心にして織られるキリムの産地 細長いキリムが多く色は青、ベージュ、茶が基調ダイヤモンドや格子のパターン 花文も様式化される


バクチアリ(bakhtiari)

20世紀半ば頃まで、中央イランの平原から西のザクロス山脈を越えてイラク近くまで遊牧するバクチアリがいた。現在はヤスド周辺に定住しているが、その伝統はキリムに伝わています。色は黄、青、オレンジなど鮮やか。デザインは、格子柄やヘシュティと呼ばれる箱形が多く、その中にボテ(ペーズリー文)が組み込まれる。


(キリムのある部屋より引用)