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インテリア マツバラ

絨毯と遊牧民のギャベ

マツバラ 2015.09.15 09:30:00


ギャッベを制作中の織り手さんと当店 マツバラ


イスファンで絨毯の選択中の当店 マツバラ

中東の絨毯というと、豪華で装飾的なイメージが強いのですが、遊牧民が生活使うギャベ(ギャッペ)と呼ばれる、絨毯はとても質素で、その雰囲気が欧米でも人気があります。

ギャベには、決まったデザインも、下絵もなく、空は青色、草原はグーリン、サバクは白、夜空はブルー、太陽は赤と、織り手が感じるままに 織り上げられます。

ギャベとは、もともとペルシャ語で『目が粗い』と言う意味なのですが、ギャベの人気が出た事もあり、大量生産の為、質の良くない物が出回った時期がありました。

絨毯作りを見直したイランの「ゾランヴァリ社」は、手紬の細い糸を天然染料で染め、技術の高い織り手と契約し、他の追従を許さないギャッベを確立しました。


一般のギャッベ(ギャベ)


カシュガイ族の織り手さんと当店松原

細かい絨毯は、1帖織るのに1年ほど掛かります。4畳半(2m x 3m)くらいだと4〜5年必要でしょうか? 本当に、気の遠くなるような仕事です。

石油が出るようになってから、生活も変わり、仕事の種類も増えて来たので、絨毯織りの様な仕事は嫌がられているようです。
遊牧民たちの定住化によって、遊牧民の絨毯は、しだいに減ってきました。

現地では、平地で育った羊の毛を紡いだ物が、出回っています。
平地で育った羊の毛は、紡ぐと短くて太い糸になるので、艶もなく、遊び毛も多いのですが、かなり安く売買されています。


ゾランヴァリ社

今でこそ、イランを代表する、ギャベのトップブランドですが、最初の頃は、化学染料で染めた、目の粗いゾランバリ社の絨毯は、ヨーロッパで人気がありませんでした。

80年代からは、手で紡いだ細い糸を天然染料で染める、草木染めの伝統を復活させ、カシュガイ族の中でも技術の高い、織り手と契約し、品質管理を徹底してからは、美しい現代アートにも通じる絨毯を作り続けています。

ゾランヴァリ社の絨毯に使用するウールは、毛のキメが細かく長い長毛、多脂分なので保温・保湿に優れた、光沢のある高地帯種の羊の毛を使用しております。

しかし、残念なことに簡易な技法で作られた『ギャッベの安物』が出回る傾向にありますので、しっかりと本物を見極める必要があります。


ゾランヴァリ氏と遊牧テントで食事会

素朴なギャベ(ギャッベ)


カシュガイ族 ライオンラグ オールド品

細かく芸術性が高い、5大産地と言われるクム、イスファン、タブリーズ、ナイン、カシャンの他にも、ペルシャ 絨毯の産地は50〜60ケ所有ると言われてます。

中でも「ギャベ」と言われる素朴な絨毯は、とても人気があります。

もともとギャベとは『目の粗い』と言う意味です、父親が育てた羊の毛を母親と娘が織っていく『古拙』な絨毯は、部族ごと地域ごとにに個性があります。
オールドギャッベ(ライオンラグ)はもともと出回っている数が少なく、オールドのライオンラグギャベに出会えた人は幸運な方です